猶予期間(モラトリアム)のない子どもたち(3)

「しつけ」の名の下に行われる虐待も珍しくはありません。
 厚生労働省によると、04年1月~16年3月に虐待死した計653人のうち、81人(12%)の主な虐待理由は「しつけのつもり」で、理由が明らかなケースで2番目に多かったというのです。

 さらに3歳以上に限れば09年4月以降、「しつけ」で27人(28%)が死亡し、理由として最も多いそうです(『朝日新聞』18年6月27日)。

「子どものため」と言いながら、親の期待や希望を押しつけて何かを教え込もうとしたり、子どもが今できる範囲を超えて無理難題をやらせようとする教育虐待。親のいらいらや不安を子どもにぶつける理不尽な行為を「しつけ」と正当化すること。
 
 それは早期教育や受験競争が過し、経済的に不安定な家庭が増えている昨今では、どこの地域でも、どこの学校や家庭でも起こり得ます。

夏休みを短縮して

忙しい「学力向上」を目的にと、今やあちこちでやっている夏休みの短縮にも、同じような発想が見て取れはしないでしょうか。

『東京新聞』(2018年7月18日)には、「授業増 全国で相次ぐ」として、夏休みを減らした宮城県東松山市や大分県日田市、保護者からの反対で短縮を2年間延期した静岡県吉田町などのケースが載っています。

 そして、「国際的にみても、日本の授業日数はすでに長い」と、同記事で次のように指摘しています。

「経済協力開発機構(OECD)の『図表で見る教育2017年版』によると、日本は初等・中等教育とも年間授業日数が201日と加盟国で最多だった。初等教育では加盟国平均の185日を大幅に上回り、英国、韓国は190日、米国は180日で、最も少ないフランスは162日だった」

 ちなみに文部科学省は「学力と授業時間の相関性を示す調査はない」(同記事)としているそうです。
 
まるで罰ゲーム

 こうした状況について、東北大学の青木栄一准教授(教育行政学)は、同記事内で次のようにコメントしています。

「学力が低いから夏休みを減らす、と言われたら、子どもたちにとってまるで罰ゲーム。先生の意欲も低下させてしまい、学力向上にはつながらない」