「猫ブームとはなんぞや」(1/8)

2018年1月26日

またまた猫の話題で恐縮です。
犬よりも猫と暮らす人が増え、日本は空前の猫ブームだそうです。「ネコノミクス」などと言い、猫が経済を押し上げているとまで言われています。

そんななか、自他共に認める猫好きで写真家・作家の藤原新也さんは雑誌(『生活と自治』2016年5月号「日々の一滴」/生活クラブ事業連合生活協同組合連合会)の連載コラムでこう問いかけます。

「猫ブームとはなんぞや」


藤原新也という作家・写真家

60・70年台生まれには、藤原ファンが大勢いました。私も学生時代には、むさぼるように彼の著作を読みました。

藤原さんは、アジアやインド、東京、アメリカなどの、「観光地ではない外国」を旅して歩き、写真とエッセイによってその土地の文化や、そこに暮らす庶民の内面、人間の性や欲望を浮かび上がらせました。

また、消費に明け暮れ、モノに埋没する現代社会の病理を鋭い筆致でえぐり取り、シュールな世界を切り取った写真を次々と発表しました。

おそらく彼に憧れ、バックパックを担いで貧乏旅行をした人は数知れずいたことでしょう。ちなみに、私もそのひとり。藤原さんの著作を片手にディープな世界をたどる旅に胸を膨らませたものです。

猫はKM

そんな偉大な写真家であり、作家である藤原さんは、コラム上でこの現状を「日本人が犬化していることの現れではないか」と、次のように分析しています。

「犬はご存じのように人の顔色をうかがい、ご主人に調子を合わせる。つまりすぐれて『空気を読む』動物なのである。ひるがえって猫はどうか。猫はKMだ。その心は『空気を無視する』である」

さらにコラムには藤原さんの愛猫・クロコの写真が添えられ、こんなキャプションが載っています。

「この猫ほど空気を無視する猫も珍しい。呼んでも返事をしない。当然やって来ないばかりか時には反対方向に歩く。えさをやっても小指の先ほどしか食べず、勝手に何かをどこかで食べている。抱いても喜ばす、おもむろに立ち去る」(続く…