BOSTON STRONG(6/7)

2018年1月31日

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放射能という目に見えない、得体の知れないものに怯えながら低線量被曝がいったい生命に何をもたらすのかも分からない中で、たったひとりで子育てをするというだけでも、想像できないくらい大変なことです。

そんな避難生活をされている母子に「これでもか!」というほどたくさんの難題が次々と降りかかっています。

母子避難の方々が直面している問題がどんなものなのか。そのリアルな声を聞きたいいという方は、ぜひ関西に母子避難されている方々の体験手記『20年後のあなたへ』をお読みください。「避難ママのお茶べり会」より購入できます。

ここでは、私が強く心を揺さぶられた母子避難されているあるお母さんの言葉を一部抜粋のかたちでご紹介させていいただきたいと思います。
それは福島から関西に避難されているあるお母さんの話でした。彼女の手記が載った『子どもの権利モニター』116号(DCI日本発行)より転載いたします。

父親から引き離したことは正しかった?

「夫は月に一度来れればよい方です。『単身赴任や海外赴任のお父さんを持つご家庭と同じ」と、自分に言い聞かせて日々過ごしていますが、『いつまで』という任期があるわけでなく、おそらく相当長期に渡ってこの生活が続くと考えると、子どもへの精神面での影響が心配で、『本当に福島を出て良かったのか』と何度悩んだかしれません。お父さんが大好きだった3歳の息子を父親から引き離してしまったのは本当に正しかったのか? 震災当時、生後5ヶ月だった娘はほぼ父親を知らないで育ってしまって父娘関係に影響は出ないだろうか? なによりも、家族のためにたったひとりで福島に残って子どもの寝顔さえ毎日見る事が出来ない生活をしている夫の精神状態は本当に大丈夫なのだろうか? 休みには700キロ以上離れた大阪まで1人高速道路を車で飛ばして子どもたちに会いに来て、大阪では24時間も滞在できないで、また戻る。せっかく夫が来ても、子どもたちには 『お父さんは疲れてるから寝かせてあげて!』と声を上げる私は母親として何をやってるんだろう・・・」

手記からは、「放射能からは子どもを守ることができたけれども、父親との関係性を奪ってしまったことの影響はないのだろうか?」という迷いと苦悩が、伝わってきます。

心と体の健康はトータル

心と体の健康はトータルなものです。物理的な環境だけを整えても、子どもの心は健康に育ちません。たとえば、一切の放射能汚染の無い場所で、衣食住のすべてを満たす生活が保障されたとしても、それだけでは子どもはきちんと育ちません。無条件に愛し、常に関心を向けてくれるおとな(多くの場合は親)の存在が不可欠です。(続く…