『平気でうそをつく人たち』(7/9)

2018年1月31日

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もちろん、「うそをつくこと」自体は、まったく悪いことではありません。

私たち人間は、自分自身にさえうそをつきながら生きています。
現実を見ないようにしたり、自分の本心に気付かないようにしながら、葛藤をやりすごし、どうにかバランスを取ることは、健康に生きていくために欠かせない能力です。

もしそうした能力がなければ、辛い現実や受け入れ難い事実に飲み込まれ、日々の生活はたちまち立ちゆかなくなるでしょう。

無意識を発見した精神科医のフロイトは、こうした心の働きを防衛機制と呼び、「だれもが心理的葛藤から自分を守るために行っていること」と述べました。

うそをつけることは大切

また、精神科医で作家でもある岡田尊司さんも著書『あなたの中の異常心理』(幻冬舎新書)の中でシェークスピアの『リア王』に登場するリア王と末娘コーデリアを取り上げ、「うそをつける人間である」ことの大切さを述べています。

かんたんに『リア王』の内容を記しましょう。
この悲劇は、年老いた王が自分の領地を分配するにあたって、三人の娘達に「どれくらい自分を愛しているか」を聞いてから決めるということから始まります。

上の二人の娘は、心にもない甘い言葉で父への愛と感謝を述べます。しかし、三姉妹の中でだれよりも父を愛していたコーデリアは、そうした茶番劇に嫌悪感を持ち、父への愛を語ることができませんでした。

娘の中でもコーデリアをかわいがっていた王は激昂し、コーデリアを勘当。領地を上の二人の娘に二分してしまいます。

ところが、王はその後、領地を分け与えた二人の娘に疎んじられ、居場所を失い、発狂していくのです。(続く…