子どもの権利条約と家族(2/5)

2018年2月5日

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結局、カルデロンさん一家はのり子さんだけを残し、来月13日にフィリピンへ帰国することを決めました。3月13日のことです。

東京入管が3月9日にのり子さんの父親・アランさんが身柄を強制収容し、「のり子さんだけを残すかどうか決めなければ、家族三人を強制送還する」と迫ったため、苦渋の選択をせざるを得なかったのです。

今後、のり子さんは現在の住居である蕨市に引っ越してくる母親・サラさんの妹夫婦と共に暮らし、中学校に通う予定です。

3月13日の記者会見で、のり子さんは「日本は私にとって母国。培ってきたいろいろなことを生かすために一生懸命がんばります」と話す一方、「私ひとり残れてもうれしくありません」とも言いました(『朝日新聞』3月14日)。

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これが最大限の配慮?

カルデロンさん一家が帰国を決めるまでの一連の経緯について、ある法務省幹部は「法律が許す範囲で最大限の配慮をしたつもりだ」(『東京新聞』4月14日)とコメントしています。

本当にそうでしょうか?
通常、入管は強制退去が決まった時点で子どもが中学生以上だと「日本に定着し、国籍のある国での生活は困難」と判断し、一家に在留特別許可が下りることが多いのです。

ところが今回のケースの場合、母親の不法滞在が発覚して処分が決まった2006年時点で、のり子さんは小学校5年生であったことから、それが認められませんでした。
ある入管幹部は「中学生になったのは訴訟で争っていたから。それで判断を変えれば、罪を認めてすぐに帰った人に対し公平を欠く」と話しています(『朝日新聞』3月10日)。

まったくもっておかしな話です。
日本には「不服申し立て」という、 行政の処分が受け入れられないときには再審査を請求する制度がちゃんとあるのです。
その審査にある程度時間がかかることも当たり前です。そして、この期間中に中学生になったのり子さんが、他の大勢の子どもたち同様「日本に定着し、国籍のある国での生活は困難」であることは疑いの余地がありません。

それにもかかわらず、「公平を欠く」と発言するとは言語道断もいいところです。日本の法制度も、子どもの成長発達も、無視しています。

世論もまっぷたつ

家族そろっての在留特別許可を求めるカルデロンさん一家をめぐっては、世論もまっぷたつ。ネット上でも「入管は柔軟に対応すべき」派と「いかなる理由があろうとも法は守らねばならない」派に分かれ、かなり激しい議論がなされていました。

とくに「帰れ」派の論調はものすごいものがあります。「法律があるのになぜ守らないんだ!」から始まって、「ゴネ得」「本当はタガログ語もしゃべれるんだろう」「(のり子さんに対して)家族と離れたくないと言ってたくせに、何でひとりだけ残るんだ」など、誹謗中傷に近いものも少なくありません。(続く…