子どもの権利条約と家族(1/5)

2018年2月5日

今回は、子どもの権利条約から見た家族の問題を書きたいと思います。

1994年に日本が批准した子どもの権利条約は、虐待や親の病気など、特別な事情があって親が面倒を見られないということがない限り、子どもと親の分離を禁じています(第9条)。

たとえ両親のどちらかが日本人でなかいとしてもまったく変わりません。どんな子どもも、すくすくと成長できるように、身の回りを整えてもらったり、愛情を注いでもらったりする権利を持っています。

もし、経済的な理由や国籍などの問題で、親がこうした愛情を注ぐことが難しい場合には、国が親を援助する義務もあります。

家族というハコモノよりも、そこに暮らす子ども一人ひとりの思いや願いを大切にする子どもの権利条約らしい条文です。

ところが、日本はこの9条を認めることを留保しています。
これもまた、子どもよりも家族を重んじ、前回のブログで書いたような“偽りの家族”が増殖する土壌を築いてきた日本らしい話です。

国連「子どもの権利委員会」は、2度に渡る子どもの権利条約に基づく政府審査で、こうした日本政府の態度に懸念を表明しています。

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子どもよりも規律が大事

日本政府が9条を留保する理由は、「もし、9条を認めてしまうと入国管理権限に影響を与えてしまう」と分かっているためです。

たとえば不法就労で日本に入ってきた外国人に、子どもが産まれ、生活しているという実態が出来てしまった場合などにも、その子どもを含む家族を受け入れる義務が生じます。
それは、日本政府からすれば「規律を乱す」許せない行為なのです。

実は、まさに今、こうした日本政府の態度によって、家族分離の瀬戸際に立たされている子どもがいます。
最近ニュースでも話題になっているカルデロンのり子さん(13歳)です。
のり子さん一家については、BBCが「日本政府、家族の分割を迫る」(Japanese ruling may split family)と報じるなど、世界的にも注目を集めています。[こちら参照

親子分離か強制退去か

のり子さんは日本で産まれ、日本で育ち、日本の学校で教育を受けました。現在は埼玉県蕨市の中学校に通っています。日本語しか話せません。

ところが、のり子さんの両親がフィリピンからの不法入国者であったために、東京入管は(1)3人そろって帰国するか、(2)のり子さんだけを残して両親だけでフィリピンに帰るか、の選択を迫っています。期限は今月9日です。

その期限が告げられた2月13日より数日前、一家は記者会見しました。その席でのり子さんは、「私にとって日本は母国。日本で勉強したい。そのためには両親が必要です」と語り、父親は「帰国を前提とした対応は考えられない。子ども一人を残していくこともできない」と話しました。
その模様は[こちら]で見ることができます。

のり子さんの友人や一家が住む蕨市の住民を中心に約2万筆もの署名が集まり、つい昨日、蕨市議会は全会一致でのり子さんの在学・学習期間中、一家全員の在留許可を求める意見書を採決しました。

でも、日本政府の姿勢は頑なです(経緯を詳しく知りたい方は[こちら]参照)。

正規の在留資格が無い場合は、法務大臣の裁量で特別在留許可を認めることもできますが、森英介法相は「のり子さんだけなら在留許可を認めるが、一家全員での在留は認めない方針は変わらない」(2月27日)とコメントしています。(続く…