現実から解離した教育再生会議(8/8)

2018年2月5日

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子どもの心理的ニーズに応えることが重要

子どもの人格形成に有用なのは、その子どもが「今、必要としていること」(心理的ニーズ)に適切に応える「関わり」です。
身体的虐待などの目に見えやすい虐待よりも、心理的ニーズに応えない子育ての方が子どもより深刻なダメージを与えるとの研究結果もあります(1)身体的虐待、2)ネグレクト、3)心理的ニーズに応えないなど、五つの違う養育パターンの子どもを追跡調査した「Minnesota Mother Child Project」より)。

ところが、教育再生会議の報告は「どういう関わりが子どもの成長にポジティブな影響を与えるのか」についてはまったく触れていません。
「最新の脳科学や社会科学などの知見を踏まえた人格形成を目指す」と謳っているのに、最近の虐待研究やトラウマ研究、それらが脳に与える影響については、まったくと言っていいほど注目していないのです。

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最新の脳科学に基づく関わりは研究中

先日、教育再生会議の担当官に直接質問する機会がありました。担当官は、

「子育て講座などを通して、子どもに愛情を持って接するよう親に教えていく」

と繰り返していましたが、「子どもがきちんと成長できるような『愛情ある』関わり方とはどんなことを指すのですか?」という私の質問には、ついに答えてはくれませんでした。
「具体的なことは現在、研究中」(担当官)だからというのがその理由です。

そんないいい加減な「最新の脳科学や社会科学の知見」と偏った専門家からのヒアリングに基づいて、日常的な子どもへの関わり方にまで踏み込んだ提言が出されました。そして、その提言を“踏まえた”取り組みが始まろうとしています。

「親の期待に応えたい」と思いながら、そうできない自分を責める子どもたち。「子どもに良く育って欲しい」と願いながら、うまく関われない親たち。

その痛々しい現実を直視することなく、高みから政府首脳にとって都合の良い提言をする教育再生会議に憤りを感じずにはいられません。