子どもの権利条約が生きた町(3/6)

2018年2月5日

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犬山で、まったくオリジナルの教育改革が始まったのは1997年。牽引役となったのは、その年に教育長に就任した瀬見井久さんでした。
「犬山の子は犬山で育てる」を合い言葉に、すべての子どもの人格形成と学力保障を実現するための改革を進めて来たのです。

瀬見井さんが目指した改革は極めてシンプル。

「私が子どもであったとして、また教師であったとして、『通いたい学校』を追い求めることで、学校を教師自らの手で内側から変えてゆく自己改革」(『全国学力テスト、参加しません。犬山市教育委員会の選択』/明石書店刊・19ページ)です。

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だから何より重んじたのは学校と教師の自立性。教育委員会は「徹底的に学校と教師をサポートする立場」に徹して来ました。教師が「教える喜び」を実感できなければ子どもが「学ぶ喜び」を感じることはできないと考えたのです。

「学ぶ喜び」が実感できる学校づくり

子どもたちが「学ぶ喜び」を実感するめには、競争を煽るような授業・学校はマイナスです。その理由を犬山市教育委員会の方がこんなふうに説明してくれました。

「教育は人と人との関わり。学ぶ喜びを感じるためには、まず人と生きる喜びがなければなりません。それには、『だれかが教えてくれた』とか『一緒に何かをやり遂げた』などの体験が必要です。そしてその積み重ねが人格形成や学力保障に繋がります。競争という外からの刺激や教え込みによっては絶対にできないことです」

そこで始まったのが、学校を協同・共生の場と位置づけて、子どもが豊かな人間関係の中で、「自ら学ぶ力」を育てる取り組みです。

その核となっているのは少人数による「学び合い」の授業。競争主義的な教育改革を行っている自治体で広く採用されている「習熟度別」の少人数授業ではないところがポイントです。

犬山では、給食民営化で確保した約1億5千万円の市費で講師を雇用。段階的に人数を増やし(今年度は六七人)、講師を各学校の事情や要望に応じて加配しました。その結果、現在、市内14の小中学校のほとんどで約30人の少人数学級を実現し、4〜5人のグループ(班)学習も増えました。
もちろん、学級編成の仕方やどんな学習でどんなふうにグループ学習を使うかなどの判断は、すべて現場に委ねられています。(続く…