教育基本法「改正」で子どもが育つか?(2/4)

2018年2月5日

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子どもはおとなに気に入られる“よい子”のふりをすることなく欲求(意見)を表し、それを受け止めてもらうことーーありのままの自分を認めてもらうことーーで、
「自分は愛されている」
「世の中は自分を受け入れてくれている」
という、自己肯定感や基本的信頼感を育みます。そのような感覚を得てはじめて、生来持っている共感能力や自律性、道徳性や好奇心が生まれ、人生を生き抜いていく力を獲得します。

子どもが、人格的にも肉体的にもバランスの取れた人間へと成長発達するためには、子どもをそのままで抱えてくれる人間関係、自分は守られていると感じられる安全基地が不可欠です。

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もし、そうした人間関係を持て無かった場合、人格形成に何らかの歪みが生じます。安心感がないため、他人を信用できず、攻撃的であったり、引きこもったり、保身だけを考えたりする人間になるおそれもあります。

たとえ知的能力が高く、社会的には高い地位につけたとしても、同じです。かえって権力やお金を手しまった分だけ、社会にもたらす弊害も大きくなります。
多くの場合、身近なおとなから力で押さえつけられて育っているので、成長したときには他人が信用できず、金や権力で人を支配したり、より強い者にしがみついたり、面従腹背で私利私欲に走るような人間になってしまうおそれがあるのです。共感能力が育っていないので、他人の痛みにも無頓着です。

談合事件で次々と逮捕されている知事たちや、子どもの心を育てる「ココロねっこ運動」に熱心な長崎県の県庁で発覚した大がかりな裏金づくり事件を考えてください。

子ども期における身近なおとな(多くの場合は養育者)との受容的な関係性を重視する考え方は、イギリスの精神分析医であるジョン・ボウルビィが提唱したアタッチメント理論に基づくものです。

小児科医でもあったボウルビィは、継続的で愛情に満ちた養育者を持たない子どもたちを調査するなかで、養育者との基本的な関係性である健全なアタッチメント(誕生の瞬間から築かれていく愛情にあふれた情緒的な絆)が形成できなかった場合、その影響は将来にわたって深刻な影を落とすことを明らかにしました。

また、近年、虐待などの不適切な養育による慢性的なトラウマ体験を持った子どもへの理解やケアの在り方についての研究が進むなかで、トラウマとアタッチメントはコインの表裏のような関係であることも分かってきました。
つまり、健全なアタッチメントが形成されていないとトラウマを受けやすくなり、トラウマを受けると健全なアタッチメントによって築かれた安心感を崩してしまうことが分かってきたのです。

そこには、科学の発達による大脳生理学の発展が関与しています。
母親の胎内にいる期間も含めて、ごく小さいときから身近なおとな(養育者)から、慰めや共感、喜びの共有などが受け取れなかった場合、右脳の発達不全が起こることが明らかになりました。そして、トラウマ治療の研究から、人との関係性によって脳(心)の機能が改善することも立証されはじめたのです。(続く…